
東北地方太平洋沖地震に被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
あいち診療会は在宅医療の推進が患者医療者関係を患者にとって好ましい形に変えていく事を確信し、設立以来
「受け手になった時に安心できる医療システムの構築」
を目標に掲げて、在宅医療を中心に取り組んできました。
この大震災を受けて、あらためて自然の恐ろしさと、生活があってこその医療であることを思い知らされました。医薬品が足りないことで被災地では多くの医療者が苦戦しています。しかし医薬品があっても食料が無ければ、生活環境が良くなければ多くの人々が生きていけなくなります。事実、避難所で亡くなられつつある幾人もの方の中には食料と住環境さえ確保できれば亡くならないで済むのです。
「今、私たちにできること」「日本は一つ」と言った心地よい言葉が飛び交い始めています。
最近大きな話題となっている無縁死の増大は、人間の力に対する過信から生まれた産物の様に思われます。都会での生活は自然の厳しさに対峙せずに済むとの錯覚を多くの人々に植え付けました。自然が厳しければ厳しいほど、人と人のつながりは密になり人と人の争いは少なくなります。
今私たちは二つの方向で考え方を見直す絶好の機会に恵まれています。
一つは、地域での人と人のつながりを密にすることの大切さに気付き、つながり作りにエネルギーを使うことです。地域での人と人のつながりが深まれば深まるほど、私たち在宅医療に取り組む者にとっての一つの課題である独居の方の在宅看取りが実現しやすくなるでしょう。
もう一つは狭い地域にとらわれずに地球、宇宙を視野に入れて物事を考えることです。
この震災に対して、多くの国々の人々からメッセージをもらい支援をもらっています。この機会に「地球は一つ」であることに気付こうではありませんか。地球そのものが環境面で人間同士の争いで危機的な状況に立っている事に気がつかなくてはならない時期に来ています。戦争で、貧困で10万人を超えるともいわれるこの震災の犠牲者以上の方が毎年亡くなっています。
戦国時代に多くの死者を出して争われた領地問題は日本を単位に物事が動くようになったことで小競り合い程度のものになりました。日本の「領土」もその程度のものではありませんか。それよりは大震災の被災者に思いをはせると同じように地球の遠いところで苦しむ人々に思いをはせることのできる豊かさを持ちたいものです。
多くの皆様のご多幸をお祈りします。
2011年3月