年頭所感 いい医加減
理事長 畑 恒土
私は昨年ついに後期高齢者の烙印をいただいた。この一年に向けて所感を書けとのリクエストにしばし思いをはせた。
いい湯だな♪いい湯だな♪
湯気が天井からぽたりと背中に・・♪
これはドリフターズのつい口ずさみたくなる曲
「湯加減はいかがですか?」
最近あまり耳にしなくなったがこの言葉はいかにも日本的な言葉であり好きな言葉である。薪で風呂の湯を炊き、湯温は火加減で調節して温度
が測れないし、各人の好みがあるから本人に聞くしかない。あなた好みの湯にしますよというメッセージ。
社会的なかかわり
湯温の設定は自分で好きなように調節し、スーパーに行けばほしいものを手にしてセルフレジで会計して持って帰る。誰とも付き合わなくても暮らせる時代になった。これは喜ぶべきことなのだろうか。
主観的評価から導き出した国際的によく使われる世界幸福度ランキングで日本は55位でここ3年間下がり続けているという。
循環器を診る医師にとって極めてショッキングな話がある。59歳以上に限ると、血圧をきちんと管理するよりも社会的なかかわりをたくさん持つ方が死亡リスクが減るというのだ。(「もう受診しない」なんて言わないでね)
わが国では、世界に誇る健康保険制度があり、それが長寿を支えているともいわれる。
健康保険上での私たち医師の役割は、患者さんが病気になってからその病気を診ることである。病気にならないようにするのが大切なのに「病名がないと保険請求ができない」。
生活習慣病は治らない、管理し続ける病気である。生活習慣病の患者さんとは定期的にお付き合いができるのでその方の思いに近づくことが可能である。
血圧を1日3回測ってグラフを見せてくださる方もいれば「余計な心配するから」「めんどくさいから」「お金がないから」と測らない理由は様々ある。
いい医だな♪
そろそろ終活に入ろうとする高齢者にとって血圧を厳密に管理することは必ずしも最優先事項ではない。
人それぞれにもっと大切なことがきっとある。
人それぞれに「いい湯加減」があるように「いい医加減」があるはずだ。
「いい医だな♪」といわれる医者でありたいと思うこの頃である。
医加減はいかがですか

あいち診療所 野並 院長 野村 秀樹

あけましておめでとうございます。
昨年も多くの皆さんに支えていただき、診療所として穏やかに一年を過ごすことができました。
昨年を振り返ると、コロナ禍で中断していた「笹原健康祭り」を再開できたことが、診療所にとって大きな出来事でした。地域の方々と久しぶりに直接ふれあい、皆さんも職員も診療所とは違った一面を一緒に楽しむ時間は、私たちにとって何よりの励みとなりました。
個人的には大阪・関西万博を訪れ、国内外の多様な文化や価値観に触れたことが印象深いことでした。日々同じ地域で暮らす皆さんも、背景や生活の形はそれぞれ異なり、まさに「多様性の中での生活」が地域を形づくっているのだと改めて感じました。
皆さんの生活の一部としてより身近な存在になれるよう、「地域で暮らし続ける」ことを支える取り組みを進めていきたいと考えています。
また、皆さん自身の健康つくりや病気に対する知識のアップデートも重要です。地域での健康講座等にも取り組みたいと思います。困りごと、相談ごとやご要望があれば、どうぞ遠慮なくお知らせください。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

あいち診療所 滝の水 院長 岡崎 嘉樹

案山子
元気でいるか/町には慣れたか/友達できたか/寂しかないか/お金はあるか/今度いつ帰る。
さだまさしさんの歌「案山子」のサビの部分です。四十数年前、東京から名古屋に来て、ホームシックになりかかった時、この曲を毎日のように聞いていました。両親はきっと、この歌詞のように心配しているんだろうなと胸が熱くなるものがありました。
「案山子」の一番と二番の出だしはそれぞれ次の通りです。
城跡から見下ろせば/青く細い川/橋のたもとに造り酒屋の/レンガ煙突、山の麓/煙吐いて列車が走る。
この歌詞の舞台になったのが島根県の津和野であると知ったのは約二十年前のことでした。それからいつか津和野に行き、城跡から町を見てみたいと思い続けていました。
今年、ようやく津和野を訪れることができました。ただし、煙吐く列車を見るには、土日祝日限定、一日一便、十三時七分津和野着のSLやまぐち号を城山公園に登って待つ必要がありました。時間になると、遠くから汽笛が聞こえ、やがて蒸気機関車が蒸気音とともに白い煙を吐きながら、レンガ煙突の向こうを走り抜けて行きました。
わずか数分間でしたが、当時の不安な気持ち、親に心配をかけた申し訳なさ、親への感謝などで胸がいっぱいになりました。
皆さんは心に残る歌はありますか。機会がありましたら、お話を聞かせてくださいね。
今年も皆様にとって、良い一年になることをお祈りしています。




