いい加減な医療

 「いい加減」は大辞林によれば
( 連語 ) よい程度。適度。よいかげん
(形動) ほどほどにしたいさま。もう―にしろよ
無責任なさま。でたらめ仕事がいつも―だ
徹底しないさま。中途半端。―なことでは白状しない

とあります。あいち診療所の医療はいい加減だ、これは褒め言葉でしょうか、けなし言葉でしょうか。
 最近前立腺がんが血液検査PSAで診断できると言って盛んにスクリーニング検査が行われています。私もご希望があれば採血のついでに検査に出したりしています。

 前立腺がんは年齢とともに罹患率が高くなることが知られています。年々罹患率が上昇していることも言われています。しかし75歳から79歳の人で前立腺がんの診断のついている人は1000人中2人強でした。実は亡くなった方の解剖によってはじめて前立腺がんの存在が見つかった方が20%(1000人中200人)もいるとのことです。この方たちは前立腺がんはあったが知らずに寿命をむかえた人です。アメリカでは80歳以上の人の3分の2に前立腺がんがあったという研究もあるそうです。

 PSAの検査で癌が疑われると、前立腺の生検をしましょうということになります。治療せずにいても寿命まで元気にしていられる人がたくさんいるのにどこまで一生懸命病気を探さなくてはいけないのでしょうか。
 そろそろ医療機関にはいい加減を期待してもいいのではないでしょうか。

 

 生活習慣病には食事療法が大切です。最近は子供を育てないで、ペットを大事にする家庭が少なくありません。獣医さんがよくペットフード以外は食べさせない方がいいと言います。私は猫のケムに『Hills』の食事がいいと言われて高い金を払って買い与えています。(私は会社から一切お金は頂いていません)こんな話を真に受けておいしいご飯を食べさせてあげてない方がたくさんいるのではと思います。(ケムは外に出かけネズミを食べたり、鳥を捕まえたりもしています。)

 私たち人間はいろいろなゲテモノを探しておいしいと言って食べています。河豚のキモなどその最たるものです。私も先輩の医師に連れられて、ふぐ料理屋で「こいつは麻酔科医だから大丈夫。肝を食べさせてやってくれ」と紹介されおいしく頂きました。帰りの車を運転する時手がビリビリしびれていたのは気のせいだったのでしょうか。麻酔科医だって自分の人工呼吸は出来ないのにね。栄養学的に完璧なマンフード(マックじゃないよ)があって、毎日それを食べて生きるのって…堪らん。こんなことを書くのもいい加減にしておきましょう。