風邪の常識・非常識

子供が風邪をひいたらどうするか?

 

× 市販薬を買って飲ませおさまらなければ受診する 

 

「6歳未満の小児に市販の風邪薬を飲ませてはいけない」これが世界的な考え方になっています。「12歳までは飲ませない方がよい」とも言われています。
風邪は自然に治る病気なので薬の効果があるとは「早く治る」、「楽に治る」ということです。
風邪薬を飲むのと飲まないので治るまでの時間に差がないことがわかりました。症状が楽にならないこともわかりました。つまり効果はないのです。
効果がないだけでなく、風邪薬には副作用の発現の可能性がありますから使用しない方がいいと考えられているのです。
日本では市販薬がいつまでも売られていますし、インターネットでも買えるようにしようなどという話があります。何故でしょうね。

 

 × 昔もらった医療機関の薬を飲ませる

 

医療機関の薬は市販薬と違ってその時の症状・病態に対して処方されます。
今の症状がその時と同じとは限りません。
また市販薬より使用量が多いのが普通なので副作用もそれだけ多く出る可能性があります。
市販薬は飲まない方がいいが処方薬は飲んでもいいというわけではないのです。
処方薬は医師が責任を取るので医師に委ねているのです。
昔処方した薬に医師は責任を取りません。

 

× すぐに医療機関に受診する

 

医療機関も客商売的な要素を持っています。多くの利用者は薬をもらったり注射をしてもらうことを期待して受診しますから、その期待に応えようと不要な薬や注射を使う場合がないとはいえません。
それに薬を処方したり注射をすると収入は増えますし短い診療時間で済むのです。
注射を希望する患者さんに薬も出さないで納得して帰っていただくにはとても時間と労力が必要です。うっかりするとつかわない方がいい薬が処方されるかもしれません。

 

 × 外っておく 

 

風邪の時には消化がよくておなかの負担にならないものを取り、十分な水分を足らせることが必要です。うっかりすると2次感染をおこすこともありますから十分な観察が必要です。

 

「水分補給に務めながら、注意深く観察して経過を見る。」が正解です。

 

知っておきたいこと

              乳児期までは子どもはうそをつかない。
                            具合が悪ければ必ず機嫌が悪くなりぐずります。
                            機嫌よく遊ぶ、よく飲み食べる時には重篤な病気はまずありません。

 

 

医療機関に何を期待しますか?

 

× 早く治してもらうこと

 

風邪はウイルスが原因で起こる病気であり、薬で早く治ることはありません。
我慢して治るのを待つしかないのです。水疱瘡になった時水疱が乾燥するまで学校にいけないのと同じことで時間がかかるのです。

 

× 抗生物質の処方

 

風邪のウイルスに抗生物質は効きません。最近2次感染の予防にも役立たないと考えられるようになってきました。抗生物質にはいろいろな副作用があることが知られています。抗生物質を必要とすることは非常に少ないのです。

 

× 点滴などの注射

 

いまどき注射をする医療機関は少なくなってきましたが、注射が役に立つのは脱水がひどくて水分補給が必要にもかかわらず、口から水分が摂れないときや、口からでは使えない薬を使う必要があるときです。風邪に対してもともと効果のある薬はありませんから注射は脱水がひどくてどうしようもない時に限られます。

 

× 熱を下げること

 

風邪の時の発熱は免疫力を高めるための理にかなったものであり、無理に下げない方がいいと考えられています。解熱鎮痛剤を使用するのは、熱や痛みのために休息がとれない、食事や水分摂取ができない場合に限られます。

 

× 咳を止めること

 

咳には病原体を排除し、空気の通り道を確保する役割があり、特に小児には咳止めは使用するべきでないと考えられています。咳止めを使用して咳が楽になるわけでもないのに、副作用は出る可能性が少なくありません。

 

 

どんな時に受診すればいいのですか?

 

3か月未満の乳児の咳、発熱
呼吸苦がある、雑音が多い(ゼイゼイ、ゴロゴロ、ヒューヒュー)
呼吸がはやい
喉に物を詰まらせた後の咳(数週前でも)
痰に血が混じる
痰が黄緑色
飲まない食べない場合

 

 

こんな場合は他の病気が重なっていたり、治療薬を適切に使用する必要があったりします。
このような状態になったら少しでも早く受診してください。