頌春

理事長 畑恒土

次のステップに

あいち診療所は一九九〇年に開設して三〇年間、在宅医療を中心とした診療所として活動してきました。介護保険のない開設時と比較すると各種在宅サービスは格段に充実しています。

医療そのもののあり方も、お任せする医療から自分の健康を守ることを応援する医療に変わりつつあるように思います。

私たちの役割は皆様の健康を支えることですが、その目的は皆様とともに幸せな生活を営むことです。医療専門職の中には視点が病気に集中し病人の生活に目を向けることができない方が少なくありません。私たちが在宅医療にこだわったのは在宅医療が生活の中で提供される医療であり、生活にかかわることなしに成立しない医療だからでした。

最近住民の健康が、医療そのものよりも地域のありかたに大きく左右されるということが言われるようになりました。これからの地域の診療所は、地域が変わっていくためにできることをしていくことが求められます。

三〇年前在宅医療が五里霧中に手探りで始められたと同様、地域の人にかかわりながら地域自体を変えていく医療にはまだ筋道がありません。コロナ騒ぎを契機に医療に関する考え方が大きく変わろうとしている今、次のステップに進むチャンスです。

三〇年後を目指す新体制

理事長として古希を迎えた今もまだまだやる気に陰りはありません。しかし現在通院されている方の半数以上の方と最後までお付き合いできるかというとそうではありません。

診療所として三〇年後を約束するにはその中心となる人間が必要です。すでに院長は野村医師にお願いしていますが、今後の診療所の方向性の決定にも責任を担っていただけることになりました。目標は変わりませんが、そのためにどのような活動をしていくかは野村院長を中心とした新体制で決定していきます。地域のありようは診療所だけでどうにかなるものではありません。皆様が自分の健康を自分で守るために、その道具としてのあいち診療所も皆様の力で育てていっていただけるものと願っています。皆様からの協力として一番うれしいことは、それぞれの皆様にとって都合の良い診療所であるように様々なリクエストをいただくことです。

これからの三〇年も今までの三〇年同様お引き立ていただきますようお願いいたします。

あいち診療所野並院長  野村 秀樹

あけましておめでとうございます

人間社会の混乱と関係なく新しい年がやってきました。「今年はお祝いどころではない!」と考える方もお見えかも知れませんが、紆余曲折はありながらも新しい年を迎えられたことをまずは喜びたいと思います。

昨年は世界中が新型コロナウイルスに翻弄され、社会が大きく変化してゆくのを目の当たりにしました。今までの常識も変わりました。「マスクをして人と話をするのは失礼だ」から「人と接触するときはマスクをしましょう」となり、「ちょっとした風邪ぐらいで仕事を休むとは・・」から「少しでも体調が悪い時は休みましょう」となりました。

また、命を守るための対策が思わぬ副作用を生むことがあることを知りました。マスクとアルコールが感染予防に重要と知れ渡り、最も必要な病院等ですら一時的に手に入らなくなりました。また、人の往来を止めて感染拡大を防ごうとする社会の中で、外出機会が減った高齢者の体力や認知機能が低下する例も珍しくありません。

その一方で、人は困難の中でも上手に乗り越えてゆくことも改めて実感しました。例えば、さまざまなデザインのマイマスクが広がり、マスクをしてもおしゃれな人々が増え、供給も安定しました。また、インターネット等を利用して自宅でもできる運動の普及啓発など閉じこもりの弊害を減らす工夫も活発となっています。(あいち診療会でもリハビリスタッフが動画等をつくりました。Hpをご覧ください。)

近いうちにワクチン接種が始まるかもしれないなど明るい話題も聞かれるようになりました。当分はこの混乱は避けられないでしょうが、それは大きく変革をするチャンスでもあります。あいち診療所野並としても、今の時代に私たちに何が求められているのかを改めて考えながら、生活を支える診療所として診療・情報発信を続けたいと思います。本年もよろしくお願いいたします。

あいち診療所滝の水院長  岡崎 嘉樹

あけましておめでとうございます。闘病をされている方も介護されている方も、新しい年を無事迎えられたことをお慶び申し上げます。また、残念ながら新年を待たずにお亡くなりになった方の介護者の方もご苦労様でした。

私たち医療スタッフが、患者様宅に滞在する時間はせいぜい 分から 分ですが、介護するご家族は 時間 日気が抜けず大変だと思います。例え状態が落ち着いていたとしても、留守中に何かあったらと言う思いが常にあって、安心して長時間の外出ができないと思います。私たちスタッフが「何かあったら」がないように患者様の状態を安定するよう努力し、病状をその都度ご説明しますので、ご心配なことがあれば、些細なことでもいいので聞いてくださいね。

歌手のユーミンさんの歌に次のようなフレーズがあります。

♪カーテンを開いて 静かな木漏れ陽の
やさしさに包まれたなら きっと
目にうつる全てのことはメッセージ♪

介護に疲れた時、カーテンを開いて、今まで楽しかったこと、うれしかったことを思い出していただくと、明日からまた頑張ろうと思えるようになると思います。ただし、一人で頑張りすぎないで、私たちスタッフと頑張りも喜びも分かち合ってくださいね。

在宅医療は医師だけでは支えられません。悪天候でもデイのお迎えをしてくれる介護スタッフに感謝。美味しい食事を作ってくれる厨房スタッフに感謝。患者様対応を優しくしてくれる事務スタッフに感謝。患者様を寝たきりにしないよう声をかけてくれるリハビリスタッフに感謝。排泄介助や緊急の点滴をしてくれる看護師さんに感謝。

今年も皆様にとって、よい1 年でありますようにエールを送ります。